Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ひとつみのきもの
一つ身の着物
壺井 栄
Lesen Sie 一つ身の着物 (ひとつみのきもの) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.453 Zeichen · 11 Bildschirme
あなたもあんまりがみがみいわないでよ。正子がいなければ私たちは誰からもお父さんお母さんと呼ばれなかったのよ。」
夫が正子をこっぴどく叱りつけたりした翌朝など、私はよくこんなことをいった。すると夫は一先ず私の言葉を素直にうけ、
「わかったよ、わかったよ、しかしね、がみがみいうのは本当は隔てがないからいうんだがね。分らないかなア。それにお前は俺だけが口やかましいようにいうけれど、お前だっていいかげんいってるよ。」
「そりゃあ私は自分のつながりですもの、聞く方も流せるのよ。そこへゆくとあなたは謂わば義理の中よ。」
「じょうだんじゃない。二十年も一しょに暮して、義理もへちまもあるかい、愛情なんてものはね、ぜったいにそんなものじゃないよ。もしも正子がそんなふうに考えてるなら、俺ア本当に怒るよ。」
いつもの口ぐせだった。しかしそれがただ口ぐせだけでないのを私は知っていた。真実の心を割ってみたならば、血のつながっている私よりも、夫の方が純粋な情愛を正子に抱いているかもしれないと思うことがよくある。しかし若い正子はそれを見抜くまでに到っていない。だが正子としては、両親の愛情を秤にかけてみなければならないほど複雑にはならなくてもよいらしい。