Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
せんきゅうひゃくさんじゅうにねんのはる
一九三二年の春
宮本 百合子
Lesen Sie 一九三二年の春 (せんきゅうひゃくさんじゅうにねんのはる) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.942 Zeichen · 44 Bildschirme
骨をわけて持って来て、またこっちで奉迎だ。雪っぷりに傘もささせぬ。新規の羽織台なしずら」
ばかばかしそうな口ぶりで農民の△君が話した。
「どうだ? 女子の方も行ったかね?」
「行くもんで! 話して来ないもん」
それから、みんな砂糖豆をたべながら、サークル員がこしらえた「職場の歌」をうたった。「トラム」の歌もうたった。初め一つの歌を大きい声で揃って歌ったら、外は雪の夜だのに温くなっていい心持になって、もう一つ、もう一つと歌った。しまいに暑がって×子が立って窓をあけた。
その夜十一時すぎの上りで自分は東京へ向った。新宿へ降りたのは省電の初発が出てまだ間のない早朝であった。駅のプラットフォームのまだどこやら寒く重たい軒のかなたに東雲が見えた。東京の夜があけて間もないらしいボロ円タクで走っているうちにだんだん家が気になりだした。角の交番を曲ったところから五十銭だまを握っていて止るとすぐ降り、家までの横丁をいそいで歩いて玄関をあけようとしたら閉っている。戸があいてまだ寝間着の家のものの顔が出るとすぐ訊いた。
「宮本さんは?」
「いらっしゃいます」
それで安心して、のろのろ顔を洗っているところへ宮本が降りて来た。