Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せんきゅうひゃくにじゅうさんねんなつ

一九二三年夏

宮本 百合子

Lesen Sie 一九二三年夏 (せんきゅうひゃくにじゅうさんねんなつ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.898 Zeichen · 16 Bildschirme

Aozora Bunko

Aは、福井市へ電報、帰る汽車その他のうち合わせに行って居る。烈しい東風雨で恐らくかえりはおくれるだろう。

十月十四日

九月一日関東、湘南に大震があり、東京は三分の二焼けの原となった。

この為に、種々の思想的変化が生じた。

一つ自分の家について考えて見ても、今迄よいところがあったら移ろうと思って居た心持がすっかりなくなり、この家でもありがたく愛し、出来るだけ心持よくして落付いて棲もうと云う心持になった。

私共は壁を紙ではり、台所のテーブルの工合をなおし、私の机の前にはカーテンを下げ、すっかり落付くようにした。

考えて見ると、人間の主我的なところと、ハムブルな弱いところとをよく現して居る。こんな家でもあった丈有難く思う謙遜さ またそれをもっと快適なものにしようとする我ままさ。

――○――

◎私は自分が、空想に支配され、いつも目の先にあらゆる壮美なもの、崇高なものの幻を描きながら、毎日は手をつかね坐り、ぼんやり思いに耽って居る種類の人間であるのを知って居る。反対にAはいつも彼の手か足かで、家中の何かを動し、片づけ、ぬり、たたきして生活に必要な準備を調えて居る。