Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぼくのぼうしのおはなし

一房の葡萄 他四篇

有島 武郎

Lesen Sie 一房の葡萄 他四篇 (ぼくのぼうしのおはなし) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.712 Zeichen · 39 Bildschirme

Aozora Bunko

僕は「泣いたって駄目だよ」と涙を叱りつけながら、そっと寝床を抜け出して本棚の所に行って上から下までよく見ましたけれども、帽子らしいものは見えません。僕は本当に困ってしまいました。

「帽子を持って寝たのは一昨日の晩で、昨夜はひょっとするとそうするのを忘れたのかも知れない」とふとその時思いました。そう思うと、持って寝たようでもあり、持つのを忘れて寝たようでもあります。「きっと忘れたんだ。そんなら中の口におき忘れてあるんだ。そうだ」僕は飛び上がるほど嬉しくなりました。中の口の帽子かけに庇のぴかぴか光った帽子が、知らん顔をしてぶら下がっているんだ。なんのこったと思うと、僕はひとりでに面白くなって、襖をがらっと勢よく開けましたが、その音におとうさんやおかあさんが眼をおさましになると大変だと思って、後ろをふり返って見ました。物音にすぐ眼のさめるおかあさんも、その時にはよく寝ていらっしゃいました。僕はそうっと襖をしめて、中の口の方に行きました。いつでもそこの電燈は消してあるはずなのに、その晩ばかりは昼のように明るくなっていました。なんでもよく見えました。中の口の帽子かけには、おとうさんの帽子の隣りに、僕の帽子が威張りくさってかかっているに違いないとは思いましたが、なんだかやはり心配で、僕はそこに行くまで、なるべくそっち