Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼくのぼうしのおはなし
一房の葡萄 他四篇
有島 武郎
Lesen Sie 一房の葡萄 他四篇 (ぼくのぼうしのおはなし) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.712 Zeichen · 39 Bildschirme
そうしたら婆やが後からまた呼びかけた。
「兄さん水は……早くお母さんの所にいって、早く来て下さいと……」
僕は台所の方に行くのをやめて、今度は一生懸命でお茶の間の方に走った。
お母さんも障子を明けはなして日なたぼっこをしながら静かに縫物をしていらしった。その側で鉄瓶のお湯がいい音をたてて煮えていた。
僕にはそこがそんなに静かなのが変に思えた。八っちゃんの病気はもうなおっているのかも知れないと思った。けれども心の中は駈けっこをしている時見たいにどきんどきんしていて、うまく口がきけなかった。
「お母さん……お母さん……八っちゃんがね……こうやっているんですよ……婆やが早く来てって」
といって八っちゃんのしたとおりの真似を立ちながらして見せた。お母さんは少しだるそうな眼をして、にこにこしながら僕を見たが、僕を見ると急に二つに折っていた背中を真直になさった。
「八っちゃんがどうかしたの」
僕は一生懸命真面目になって、
「うん」
と思い切り頭を前の方にこくりとやった。
「うん……八っちゃんがこうやって……病気になったの」
僕はもう一度前と同じ真似をした。お母さんは僕を見ていて思わず笑おうとなさったが、すぐ心配そうな顔になって、大急ぎで頭にさしていた針を抜いて針さしにさして、慌てて立ち上って、前かけの糸くずを両手ではたきながら