Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いっぽんのはな

一本の花

宮本 百合子

Lesen Sie 一本の花 (いっぽんのはな) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.709 Zeichen · 55 Bildschirme

Aozora Bunko

「何って……別に自信のあるものなんかありませんけれど――、若し出来たら、雑誌か新聞に働いて見たいと思います」

「そういう方は、ここにいる朝子さんに持って行けば、何かないもんでもないかもしれないけれど……ジャアナリストになるつもりなんですか? 将来」

そこまで考えてはいなかったと見え、娘達は身じろぎをして黙り込んだ。幸子は、自分まで工合わるそうに微笑を顔に浮べ、暫く答を待っていたが、やがて学生っぽい調子で、

「――その位の気持なんなら、却って勉強つづけていたらどうなんです」

と云った。

「ひどい不景気だから、きっといい口なんぞありませんよ。あったにしろ、そんな口にはあなたがたより、もっと、今日生きるに必要な男が飛びついています」

不得要領で二人が帰った。窓際へ椅子を運び、雑誌を繰りながらそれ等の会話をきいていた大平が、体ごと椅子をこちらへ向け、

「ふうわりしたもんだな」

好意と意外さとをこめて、呟いた。

「会社に働いている連中も、ああいう娘さん達のワン・オブ・ゼムか」

「簿記や算盤が達者なだけ増しかもしれない」

「然し、変ったもんだなあ」

大平が、真面目な追想の表情を薄い煙草色の細面に現わして、云った。