Japanische Klassiker mit Furigana
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いっぽんのはな
一本の花
宮本 百合子
Lesen Sie 一本の花 (いっぽんのはな) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.709 Zeichen · 55 Bildschirme
久保は、自分一人で切り廻しているように云った。そして、変質な子が一人あって、それが誰の云うこともきかない、髪をむしって暴れるようなのを、自分がこの頃すっかり手なずけた苦心を朝子に聞かせた。
別棟になって、広い遊戯室や、医務室や、嬰児室があった。遊戯室の板敷に辷り台や、室内ブランコなどあって、エプロンをかけた幼い子供達が遊んでいた。先生が、やはりエプロンを羽織って、一隅に五六人の子供を寄せて、話をしてやっていた。室じゅうに明るい光線がさし込んでいた。その中で、子供のエプロンや、兵児帯の赤や黄色が清潔な床の上にくっきり浮立って見えた。知らぬ朝子が入って行ったせいか、子供が、割合おとなしく遊んでいる。朝子は、その行儀のいいのが少し自然でないように感じた。そのことを云うと久保は、
「今、おとなし遊びの時間なんですよ」
と云った。そう云いながら彼女は、窓を見廻していたが、
「ああいますよ」
窓際の子供達に向っておいでおいでをし、
「今村さん、こっちへいらっしゃい」
と呼んだ。若い先生は顔をあげ、子供と久保とを見たが、直ぐあちらを向いた。
「何なの、いいの、呼んで」
「かまわないんですよ」