Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いっぽんのぎんのはり

一本の銀の針

小川 未明

Lesen Sie 一本の銀の針 (いっぽんのぎんのはり) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.687 Zeichen · 10 Bildschirme

Aozora Bunko

一

一

兄と妹は、海岸の砂原の上で、いつも仲よく遊んでいました。

おじいさんは、このあたりでは、だれ一人、「海の王さま」といえば、知らぬものはないほど、船乗りの名人でありました。ほとんど一生を海の上で暮らして、おもしろいこと、つらいことのかずかずを身に味わってきましたが、いつしか年を取って、船乗りをやめてしまいました。

おじいさんに、一人のせがれがありました。やはり、おじいさんと同じように船乗りでした。ある日のこと、家に、おじいさんと、女房と二人の子供を残して、沖の方へと出かけてゆきました。

おり悪しく、その晩に、ひどいあらしが吹いて、海の中は、さながら渦巻きかえるように見られたのでした。家族のものは心配しました。そして、どうか無事に帰ってくれるようにと待っていましたけれど、ついに、海へ出ていったせがれは、それぎり帰ってきませんでした。おじいさんは、あのあらしのために、破船して死んでしまったのだろうと思いましたが、女房や、孫たちが、悲しむのをたまらなく思って、

「どこかへ避難しているかもしれない。もう二、三日待ってみよう。」といいました。

人間というものは、どんな不幸に出あっても、日数のたつうちには、だんだん忘れてしまうものであったからです。