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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひとすじのなわ

一条の縄

宮本 百合子

Lesen Sie 一条の縄 (ひとすじのなわ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.201 Zeichen · 11 Bildschirme

Aozora Bunko

月の冴えた十一月の或る夜である。

二羽の鴨が、田の畔をたどりたどり餌を漁って居る。

収獲を終った水田の広い面には、茶筅の様な稲の切り株がゾクゾク並んで、乾き切って凍て付いた所々には、深い亀裂破れが出来て居る。

小路は霜で白く光り、寒げな靄に立ちこめられた彼方には、遠く高い山並みや木立の影が夢の様に浮き上って、人家の灯かげがところ、どころにチラチラと、小さく暖かそうに瞬いて居る。

そよりともしない夜更けの寒い静かな裡に、二つのひしゃげた影坊師がヨチヨチと動いて行くのである。

彼等は折々立ち止まって、水溜りに嘴を突込んでは意地の汚なそうな、ジュ、ジュジュ、ジュと云う音を立てながら歩いて行った。

「お月様は明るい。

餌はまあかなり工合の好い方だ。

おまけに、自分達は若いんだし、奇麗だし、仲は好いし……

ほんとに好い気持だなあ。

雄鴨は非常に愉快であった。

自分のすぐ傍を、小じんまりした形の好い形を左右に揺りながら、さも嬉しそうについて来る雌鴨を、目を大きくしてながめると、一杯にこみあげて来る満足を押え切れない様に、若い雄鴨は大羽ばたきをして、笛の様に喉をならした。