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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひとすじのなわ

一条の縄

宮本 百合子

Lesen Sie 一条の縄 (ひとすじのなわ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.201 Zeichen · 11 Bildschirme

Aozora Bunko

彼はオヤ足に何か引っ掛ったなと思う間もあらせず、今まで非常に順序よく運ばれて居た体が大変動を起した。

何かに引っかかった足は、どうしても取れるどころか、身をもがけばもがくほどひどくしまって来て、大きな大きな叫び声と共に、彼の体はすっかり、でんぐる返しになって仕舞ったのである。

天地が真暗になった様な気がした瞬間に、彼はすべての事を知って仕舞った。

雄鴨は到頭、百姓の張って置いた繩落しに掛ったのである。

もう此処を先途と叫び立てる彼の声に驚かされて、飛び戻って来た雌鴨はまあどんな様子を見た事か!

彼女は第一に、宙を掻いて居る一本の卵色の足を見た。

次には、白黒くピクピクして居る腹をながめ、最後に口をあけハアハア云って叫んで居る雄鴨の顔を見た時!

彼女は氷をあびた様に感じた。

たまらない恐れが其処にジイッと、彼女をさせて置かなかった。

何の躊躇もなく、一二度羽根だめしをすると、彼女は死に物狂いな叫びを上げて、狂気の様に飛び上って仕舞った。

激しい羽音ばかりが、苦しんで居る雄鴨の心を強く打ったのである。

彼は、逃げ出す雌鴨を見ると、一層はげしく身をもがきながら叫んだ。