Japanische Klassiker mit Furigana
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ひとあしおさきに
一足お先に
夢野 久作
Lesen Sie 一足お先に (ひとあしおさきに) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.200 Zeichen · 79 Bildschirme
とにかく用を足して本当に寝る事にしようと思い思い、もう一度窓の外を振り返ると、その時にタッタ今まで真暗であった窓の向うの特等病室の電燈が、真白に輝き出しているのに気が付いた。こっちの窓一パイに乱れかかっているエニシダの枝越に、白いドローンウォークの花模様が、青紫色の光明を反射さしているのがトテモ眩しくて美しかった。
私はその美しさに心を惹かるるともなく、ボンヤリと見惚れていたが、そのうちに又、奇妙な事に気が付いた。
気のせいか知れないけれども、病院中がヒッソリと寝鎮まっている中に、玄関の方向から特等室の前の廊下へかけては、何かしらバタバタと足音がしているようである。そう思って見ると、その特等室の眩しい電燈の光りまでもブルブルと震えているようで、人影は見えないけれども室の中まで何かしら混雑しているらしい気はいが感じられるようである。……もしかしたら歌原未亡人の容態が変ったのかも知れない……と思ううちに、どこか遠くからケタタマしく自動車の警笛が聞えて、素晴らしい速度でグングンこっちへ近付いて来た。そうして間もなく病院の前の曲り角で、二三度ブーブーと鳴らしながらピッタリと止まった。