Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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まんのし

万の死

小川 未明

Lesen Sie 万の死 (まんのし) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 4.457 Zeichen · 9 Bildschirme

Aozora Bunko

窓の外では、雨気をふくんだ風が、はげしく吹いています。そして、その年の暮れも間近に迫ったのでした。母は、なにを思ったか、ふいに、万に話しかけました。

「おまえが、まだ物心のつかないころだったよ。この村に、おつるさんといって、孝行の娘さんがあった。こんなような、暮れにおしせまった、ある日のこと、できあがった品物を持って町の問屋へとどけ、お金をもらって帰りに、そのお金をみんなとられてしまったんだよ。かわいそうに、それで娘さんは川へ身を投げて死んでしまいました。」と、母は語りました。

これを聞くと、万は下をむいて本を見ていた顔を上げました。

「だれに、お金をとられたんです。ただ、それだけで死んだのですか。」と、問いかえしました。もっと、くわしいことが知りたかったのです。

「おまえ、そのお金がなければ、家の人たちが年を越せなかったのだよ。下には、小さい弟はたくさんいたし、それに、父親は病気で寝ていたんだからね。」

「どうして、そんな大事な金を、とられたんだろうな。」と、万は、不審でたまらず、頭をかしげました。

「それが、まだ若い娘さんだろう、無理はないよ。活動写真館の前に立って、ぼんやりと写真を見ていたそのすきをねらって、すりがすったらしい。