Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのひふん
三つの悲憤
豊島 与志雄
Lesen Sie 三つの悲憤 (みっつのひふん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.748 Zeichen · 18 Bildschirme
」
「それは間違いです。いえ、それならば……向うをむいていて下さい。私の方を見ないで、そこに待っていて下さい。一番きれいな花を、私の心をこめた花を、取ってあげます。」
阮東は直ちに、李の木の大きなのに駆けより、その幹をよじのぼり、高い梢を引きたわめて、目につく一枝――蕾から咲き出たばかりでまだ蜂も虻もとまったことのない美しい花の一枝を、折り取りました。そして飛び降りてきますと、もう、素英の姿はどこにも見えませんでした。
幻を見たのでしょうか。幻と話をしたのでしょうか。――阮東は頭を振りました。手にしてる李の花を眺めました……。
やがて、彼は幻にでもひかれるように、李の花を持ったまま、ふらふらと歩きだしました。
土塀の小門をくぐって来ると、広い中庭で、池を中心に、太湖石が奇怪な形につみ重ねてあります。
「お嬢さん……素英さん……。」
阮東は口の中で胸いっぱい叫びながら、池のほとりまで来ましたが、池の澆水のつきるところ、高廊の朱の柱が眼にしみると、もう先へは進みかねて、そこの、飛竜の形の岩に身をなげかけ、さめざめと泣きました。
時たって、高廊の上に、周家の主人が立現われ、朱の柱に左手をかけ、右手を握りしめ、のびあがってじっと阮東の方を睨まえました。