Japanische Klassiker mit Furigana
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さんしろう
三四郎
Lesen Sie 三四郎 (さんしろう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.765 Zeichen · 343 Bildschirme
一二
煙がしきりに出る。「たとえば、ここに一人の男がいる。父は早く死んで、母一人を頼りに育ったとする。その母がまた病気にかかって、いよいよ息を引き取るという、まぎわに、自分が死んだら誰某の世話になれという。子供が会ったこともない、知りもしない人を指名する。理由を聞くと、母がなんとも答えない。しいて聞くとじつは誰某がお前の本当のおとっさんだとかすかな声で言った。――まあ話だが、そういう母を持った子がいるとする。すると、その子が結婚に信仰を置かなくなるのはむろんだろう」
「そんな人はめったにないでしょう」
「めったには無いだろうが、いることはいる」
「しかし先生のは、そんなのじゃないでしょう」
先生はハハハハと笑った。
「君はたしかおっかさんがいたね」
「ええ」
「おとっさんは」
「死にました」
「ぼくの母は憲法発布の翌年に死んだ」
一二
演芸会は比較的寒い時に開かれた。年はようやく押し詰まってくる。人は二十日足らずの目のさきに春を控えた。市に生きるものは、忙しからんとしている。越年の計は貧者の頭に落ちた。演芸会はこのあいだにあって、すべてののどかなるものと、余裕あるものと、春と暮の差別を知らぬものとを迎えた。