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Japanische Klassiker mit Furigana

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おりき

三好十郎の仕事 第二巻

三好 十郎

Lesen Sie 三好十郎の仕事 第二巻 (おりき) von 三好 十郎 (みよしじゅうろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.279 Zeichen · 238 Bildschirme

Aozora Bunko

麦を刈る気になったらしい。忽ち、麦の穂波の向うに見えなくなり、そちらからの鎌の音がザクリザクリと聞こえて来る。その一切の動作が、ひどくみじめな、頼り無いものに見える)

女 ……(黙ってその後姿を見送っている。やがて涙を拭き、火に小枝をくべたり、ヤカンのフタを取って覗いたりする。あと、煙を見詰めながらションボリして坐っている)

(青年が上手の叢を出て、チョット此方を見ていてから戻って来る)

青年 ……なるほど向うは随分深い谷のようですね!

女 ……へえ。

青年 板橋という部落は、川下ですか、この?

女 へえ、ズット下って……あの山の裾です。

青年 そうですか。(その方を眺める)

女 あの……お湯がわきやした。

青年 はあ、……おばあさんは?(喜びながら火のそばに腰をおろす)

女 (麦畑の方へ眼をやって)又、麦刈って――

青年 (女の注いで出す茶碗を受けて)すみません。(つづけさまに二三杯、うまそうに呑む)……御主人は出征なさっている……?

女 へ?……へえ。

(間。――女は火を見つめている。青年は茶碗を手にしたまま、見るともなく麦畑の方に眼をやる。その方からは鎌の音がするだけで歌声は聞こえぬ)