Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さんがつのだいよんにちよう

三月の第四日曜

宮本 百合子

Lesen Sie 三月の第四日曜 (さんがつのだいよんにちよう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.826 Zeichen · 42 Bildschirme

Aozora Bunko

何て教育しとったと云われたんじゃ、成仏出来んよ」

窓際へ佇んで伸びをするようにしながら、

「満州事件のときにも出征したが、どうも……」

と云いかけて、後はやめた。そして暫く浮かない顔で外を見ていたが、気をとり直したようにくるりと向き直って、

「さ、みんな、朗らかに、元気を出した、出した。明るい顔を見せるもんだ」

そう云われても、娘たちの眼の色は引立たなかった。

昼の休みに、とよ子が顔色を少し蒼ざめさせて、

「とも子さん、ちょっと」

とよって行った。

「あのお守りだか、鏡だかの話、私こないだ泣いたりしたから、みなさんに変に思われているかもしれないけれど、全く知らないんですから――」

切り口上で云って、一層蒼い顔をしたままむこうへ行ってしまった。

何も彼も、何てこんがらかって妙なんだろう、サイは両方の顳を人さし指でもんだ。

ここのしきたりで、出征の当日は門内の広場で一同送って、外に待っている在郷軍人や国防婦人会が、往来を行列でねって行くことになっている。

何を思ったのか飛田が、

「明日は決して誰も欠勤しないように」

と念をおした。新しい伍長が来るというのが理由であったが、そればかりでもないものを感じられるようなこの二三日の空気なのであった。