Japanische Klassiker mit Furigana
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みうらろうじんむかしばなし
三浦老人昔話
岡本 綺堂
Lesen Sie 三浦老人昔話 (みうらろうじんむかしばなし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.637 Zeichen · 224 Bildschirme
するとある日のことでした。きょうも朝から絹糸のような春雨が音も無しにしと/\と降っている。お嬢さまは相変らず鬱陶しそうに黙っている。お近さんをはじめ、そばに控えている二三人の腰元もたゞぼんやりと黙っていました。
こんなときには琴を弾くとか、歌でも作るとか、なにか相当の日ぐらしもある筈ですが、屋敷の家風が例の通りですから、そんな方のことは誰もみな不得手です。屋敷奉公のものは世間を知らないから世間話の種もすくない。勿論、こゝでは芝居の噂などが出そうもない。たゞ詰らなそうに睨み合っているところへ、お仙という女中がお茶を運んで来ました。お仙は始終この下屋敷の方に詰めているのでした。
「どうも毎日降りまして、さぞ御退屈でいらせられましょう。」
みんなも退屈し切っているところなので、このお仙を相手にして色々の話をしているうちに、なにかの切っかけからお仙はそのころ流行の草双紙の話をはじめました。それは例の種員の「しらぬひ譚」で、どの人も生れてから殆ど一度も草双紙などを手に取ったこともない人達なので、その面白さに我を忘れて、皆うっとりと聴き惚れていました。
お嬢様もその草双紙の話がひどく御意に入ったとみえて、日が暮れてからも又その噂が出ました。