Japanische Klassiker mit Furigana
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みうらろうじんむかしばなし
三浦老人昔話
岡本 綺堂
Lesen Sie 三浦老人昔話 (みうらろうじんむかしばなし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.637 Zeichen · 224 Bildschirme
年は三十前後で、名前はかい助と云うのだそうですが、どんな字を書くのか判りません。本人もおそらく知らなかったかも知れません。なにしろかい助という変な名ではお話が仕にくいから、仮りに平作と云って置きましょう。そのつもりでお聴きください。
人足どもはそれ/″\に荷物をかつぐ。彼の平作は鎧櫃をかつぐことになりました。担ごうとすると、よほど重い。平作も商売柄ですから、すぐにこれは普通の鎧櫃ではないと睨みました。這奴なか/\悪い奴とみえて、それをかつぐ時に粗相の振をしてわざと問屋役人の眼のまえで投げ出しました。暑い時分のことですから、醤油が沸いて呑口の筌が自然に弛んでいたのか、それとも強く投げ出すはずみに、樽に割れでも出来たのか、いずれにしても、醤油が鎧櫃のなかへ流れ出したらしく、平作が自分の粗相をわびて再びそれを担ぎあげようとすると、櫃の外へもその醤油の雫がぽと/\と零れ出しました。
「あ。」
人々も顔を見あわせました。
鎧櫃から紅い水が零れ出す筈がない。どの人もおどろくのも無理はありません。あまりの不思議をみせられて、平作自身も呆気に取られました。
二