Japanische Klassiker mit Furigana
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みうらろうじんむかしばなし
三浦老人昔話
岡本 綺堂
Lesen Sie 三浦老人昔話 (みうらろうじんむかしばなし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.637 Zeichen · 224 Bildschirme
しかし運のわるい子で、六つの年に男親に死別れて、姉のおつねと姉弟ふたりは女親の手で育てられたのです。勿論、株家督があるというでは無し、芳町のうら店に逼塞して、おふくろは針仕事や洗濯物をして、細々にその日を送っているという始末ですから、久松は九つの年から近所の糸屋へ奉公にやられ、姉は十三の年から芝口の酒屋へ子守奉公に出ることになって、親子三人が分れ/\に暮していました。そんなわけで、碌々に手習の師匠に通ったのでも無し、誰に教えられたのでも無く、云わば野育ち同様に育って来たのですが、不思議にこの姉弟は親思い、姉思い、弟思いで、おたがいに奉公のひまを見てはおふくろを尋ねて行く。姉は弟をたずねる。弟も姉の身を案じて、使の出先などからその安否をたずねに行く。まことに美しい親子仲、姉弟仲でした。
これほど仲が好いだけに、親子姉弟が別々に暮していると云うことは、定めて辛かったに相違ありません。それでも行末をたのしみに、姉も弟も真面目に奉公して、盆と正月の藪入りにはかならず芳町の家にあつまって、どこへも行かずに一日話し合って帰ることにきめていたので、その日も暮れかゝって姉弟がさびしそうに帰ってゆくうしろ姿を見送ると、相長屋の人達もおのずと涙ぐまれたそうです。