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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんりょうきょう

三稜鏡

佐左木 俊郎

Lesen Sie 三稜鏡 (さんりょうきょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.347 Zeichen · 42 Bildschirme

Aozora Bunko

そして、今に、諸君の若い美しい奥さんなり恋人なりの首を取って来て、私のところの婆さんの首と換えるのも面白いからなあ。その時までには、諸君も、私に敗けないだけに研究して置いて、その首を取戻して行かんといけないね。偖て、それではこれから……」

笠松博士は、半分ほども銀色の白毛の混っている長い顎鬚を静かに扱きながら、私達学生席の方を、学生の一人一人の顔を睨みつけるような眼をして、錆のある声で朗々と続けて行った。それはむしろ、話ではなく、朗読の口調であった。講堂には冷厳な異常の雰囲気が籠って、私達学生席からは、荒い息音さえ立たなかった。誰も彼も、凝っと息を殺して、吸付くようにして博士の口元を凝視しているのであった。

初講義の挨拶を兼ねての、総論的序説と云うよりもそれはむしろ、怖ろしい奇術の前口上を聞いているようで、私は背中の辺をぞくぞくと銀線のようなものの走るのを感じた。そして博士は、睨みつけるような眼で私達学生席の方を視詰めながらも、その口元には絶えず微笑を含んでいるのであったが、併しそれは何処となく凄味のある微笑で、睨むようにして視詰めているその眼の表情を更に冷厳なものにしていた。