Japanische Klassiker mit Furigana
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しゃんはい
上海
横光 利一
Lesen Sie 上海 (しゃんはい) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.628 Zeichen · 292 Bildschirme
二一
と、ふとどこかのカーテンが揺らめくと、鏡の中から青い微光が漣のように流れて来た。
「まア、甲谷さん、駄目だわね。秋蘭さんが来たんじゃないの。しっかりなさいよ。」
帰り支度になった宮子がドアーから二人の傍へよって来た。彼女はぶらぶらしている甲谷の片腕を支えながら参木にいった。
「これからあなた、どこまでお帰りになるつもり。」
「さア、まだどこにしようかと思ってるところなんです。」と参木はいった。
「じゃ、あたしん所へいらっしゃいな。もうすぐ夜が明けるから、しばらくの辛棒よ。」
「いいんですか、二人づれでいったって?」
「あたしはいいの。だけど、あなた、それじゃあんまり重いわね。」
「此奴はいつでもこうですよ。」
宮子は頭を垂れた甲谷の首の上から、片眉を吊り上げた。
「介抱させられる番ばかりは、いやだわね。」
階段を降りると三人は外へ出た。甃石の上で銅貨を投げ合っていた車夫たちが参木の前へ馳けて来た。三つの黄包車が走り出した。
二一
「何んだかあなた、遠慮深そうな恰好でいらっしゃるのね、ここはいいのよ。もっとのびのびとして頂戴。あたし、あなたの御不幸はもう何もかも知ってますのよ。