Japanische Klassiker mit Furigana
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しゃんはい
上海
横光 利一
Lesen Sie 上海 (しゃんはい) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.628 Zeichen · 292 Bildschirme
四一
しかし、参木と甲谷の廻った所はどこも白米と野菜に困っていた。明日になれば長崎から食料が着くという。二人は明日まで空腹を満すためには、暴徒の出没する危険区域を通過しなければならなかった。だが、今はその行く先にも食物があるかないかさえ分らないのだ。参木は甲谷とトルコ風呂で落ち逢う約束をすると、甲谷を安全な街角から後へ帰して、ひとり食物を捜しに出かけていった。
四一
甲谷は参木と分れると一層空腹に堪えかねた。それにないものはパンだけではなく煙草もないのだ。街路は夕暮だのに歩いているのは彼ひとりであった。どこもかしこも閉めてしまっている戸の隙から、何物が狙っているともしれたものではなかった。それにしても、兄の高重もひどいことをしたものだ。高重と印度人の弾丸が、彼をこんなに混乱させてしまう原因になろうとは、――甲谷は自分の船の材木が港に浮いたまま誰も揚手のないのを思うと、いまさら兄め、兄め、と思うのであった。
街に革命が起っているのも知らぬらしい一台の黄包車が、甲谷の傍へ近づいて来ると、乗れとすすめた。今頃日本人を乗せて見つかれば殺されるに決っているのに、乗れとは幸いなので、彼は乗った。