Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しゃんはい

上海

横光 利一

Lesen Sie 上海 (しゃんはい) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.628 Zeichen · 292 Bildschirme

Aozora Bunko

六

六

参木はお杉を残したまま甲谷と一緒に家を出た。通りは朝の出勤時間で黄包車の群れが、路いっぱいに河のように流れていた。二人はその黄包車の上に浮きながら人々と一緒に流れていった。二人はお杉に関しては、どちらも分り合っているように黙っていた。その実、参木は甲谷がお杉を連れて来たのにちがいないと思っていた。そうして甲谷は、参木がお杉を呼び出したのにちがいないと。

建物と建物の間から、またひと流れの黄包車が流れて来た。その流れが辻ごとに合すると、更に緊密して行く車に車夫たちの姿は見えなくなり、人々は波の上に半身を浮べた無言の群集となって、同じ速度で辷っていった。参木にはその群集の下に、さらに車を動かす一団の群集が潜んでいるようには見えなかった。彼は煉瓦の建物の岸壁に沿って、澎湃として浮き流れるその各国人の華やかな波を眺めながら、誰か知人の顔が浮いていないかと探してみた。すると、後に浮いていたはずの甲谷が、彼と並んで流れて来た。

「おい、お杉はいったい、どうしたんだ。」と参木は初めて甲谷に訊いた。

「じゃ、君も知らないのか。」

「じゃ、君が連れて帰ったんじゃないんだな。