Japanische Klassiker mit Furigana
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しゃんはい
上海
横光 利一
Lesen Sie 上海 (しゃんはい) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.628 Zeichen · 292 Bildschirme
甲谷はいった。
「さて、ひとつ、という所だが、どうだい、今日は僕のいうままになってくれるのか。」
「君のお附きは愉快じゃないね。君の金を皆渡せよ。」
「ところが、そこに僕の頼みがあるのさ。この眼の色を見てくれたって分るだろう。」
「そんなら、こっちの眼の色だって分るだろう。首を切られてお附きになるなら、首なんか切られなくたってすんだんだ。」
「頑固な奴だね。支那の美徳は金に服従する所にあるんじゃないか。まだ君は精魂が抜けぬから馬鹿なんだ。さて、馬鹿な奴は馬鹿にして、と、ボーイ。」
ボーイが来ると、甲谷は立ち上ってまたいった。
「ね、参木、今日はひとつ、二人で馬鹿の限りを尽そうじゃないか。まだまだ人生には、面白いことがいくらだってあるんだぜ。それに、何んだい君は、顔を顰めて、首を切られて、今頃からドン・キホーテの真似をしてさ。阿呆だよ。」
「いや、僕は今日は、君の兄貴の家へ行くんだよ。僕はいくら君から馬鹿にされたって、君の兄貴に仕事を探して貰わなくちゃならんのだからね。」
参木は外へ出ると、甲谷には介意ず、彼の兄の高重の家の方へ歩き出した。甲谷は彼の後からいい続けた。