Japanische Klassiker mit Furigana
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しゃんはい
上海
横光 利一
Lesen Sie 上海 (しゃんはい) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.628 Zeichen · 292 Bildschirme
一八
「おい、そっちへ行かずにこっちへ来いよ。今夜はそっと芳秋蘭を見せてやろう。芳秋蘭を――。」
一八
「競子もどうやら、いよいよ亭主が危くなって来たらしい。亭主が死ねば帰るといって来ているが、あいつも日本よりは支那の方が好きだと見えるよ。しかし、この俺だってこの頃は危いからね。今の所、競子の亭主が先きか、俺が先きかという所さ。おっと、細君が聞いてやしないかい。こいつに聞かれちゃ、こりゃ一番危いぞ。」と高重は甲谷と参木を見ていった。
「どうしてだ。」甲谷は意外な顔つきで兄を見た。
「いや、職工の中へ、ロシアの手が這入り出したんだ。俺は職工係りだから、一番危い所にいるわけだ。いつ何時機械の間から、ぽんとやられるかもしれないさ。もうそろそろ、冗談事じゃないんだよ。」高重は唇の片端を舐めながら弟の甲谷の服装をじろじろ眺めた。
「じゃ、もう争議が始ったのか。」
「いや、争議の前だ。だから今がなかなか危いのさ。あの浜中総工会が曲者だよ。」
「それや危いね、他人事ながら。」
「他人事ながら?」と高重はいって弟の方に眼を据えた。
「うむ、俺は今日は、三万円の契約をすまして来たんだ。この調子だと、ここ半年の間に支店長は受け合いだぞ。