Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ふざいじぬし

不在地主

小林 多喜二

Lesen Sie 不在地主 (ふざいじぬし) von 小林 多喜二 (こばやしたきじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.990 Zeichen · 141 Bildschirme

Aozora Bunko

一回仕入れた原料が出来上る迄に一年かかる。――七之助はそれに驚いた。然し、それどころか! その一年目にようやく出来上るものさえ、こうではないか。――これじゃ、あのめまぐるしい都会の色々な産業や工業から時代おくれになって、農村が首をしめられ、落ち込んで行くのは分りきったことだ。

「百姓嫌やになった。」――健は集ってきた友達に云った。

仕方がなくなると、紙に線をひいて、皆で軍人将棋をやった。――母親は、風呂敷のように皺ッぽい、たるんだ乳房を赤子の口にふくませながら、小さい切り窓から雨の外を、うつろに見ていた。こめかみを抑えて、「あ――あ、雨の音ば聞いてれば頭痛くなる。」

「S村の小作が、身欠鰊みたいに、ズラリ並んで首でもつる時来るべ。んだら見物だ。」

然し誰も笑えもしない。

五、六人で傘をさして、近所の田を見に出た。誰かがついでに「蛇吉」に寄ってみようと云った。何とか話して置けば、工合がいいことがあるかも知れない。――ワザワザなら、誰がこったら管理人のどこさ来るッて、皆そう思っている。

吉本は坐ったまま障子をあけて、黄色ッぽくムクンだ大きな顔を出した。