Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ふしんあん

不審庵

太宰 治

Lesen Sie 不審庵 (ふしんあん) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.782 Zeichen · 16 Bildschirme

Aozora Bunko

「困ってしまいました。」

「また油をしぼられるんじゃねえかな、」ことし大学を卒業してすぐに海軍へ志願する筈になっている松野君も、さすがに腐り切っているようであった。「茶の湯だなんて、とんでもない事をはじめるので、全くかなわねえや。」

「いや、大丈夫だ。」私は、このふさぎ込んでいる大学生たちに勇気を与えたかった。「大丈夫だ。僕はいささか研鑽して来たからね、きょうは何でも僕のするとおりに振舞っておれば間違いない。」

「そうでしょうか。」瀬尾君は少し元気を恢復した様子で、「実は僕たちも、あなた一人をあてにして、さっきからここでお待ちしていたのです。きっとあなたも招待されていると思いましたから。」

「いや、そんなにあてにされると僕も少し困るのだが。」

私たち三人は、力無く笑った。

先生は、いつも、離れのほうにいらっしゃる。離れは、庭に面した六畳間とそれに続く三畳間と、二間あって、その二間を先生がもっぱら独占して居られる。御家族の方たちは、みんな母屋のほうにいらっしゃって、私たちのために時たま、番茶や、かぼちゃの煮たのなどを持ち運んで来られる他は、めったに顔をお出しなさらぬ。