Japanische Klassiker mit Furigana
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ふしょうのあに
不肖の兄
豊島 与志雄
Lesen Sie 不肖の兄 (ふしょうのあに) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.889 Zeichen · 39 Bildschirme
へん、どーだい。」
「何だ、そのざまは。」
戦勝のしるしとして、なみなみとついだ杯を高く差上げ拍子に、手元が狂って膝にだらだらとこぼれた。その残りを一息に吸って、坐り直した。
「これで、証明がついたろう。」
「何の証明だ。」
「何の……ははあ、逃げ仕度か。卑怯だなあ。ほら、キリストが何とか云ったよ、女を見て心を動かす者は……ってな。ねえ、お母さん、お母さんは知ってるだろう。これを知らない者は……主ばかり……。」
いい気になったところを、兄からぱっと杯を叩き落された。
「何を。」
拳を固めて気張ってみたが、立てかけた膝がよろよろっとした。そこへ一つ、手首をぴしゃりとやられて、へたばりかけたとたんに、箸を取って投げつけてやった。
「馬鹿、馬鹿……やーいだ。」
ねじ伏せられたのが、変に手柔かなので、ひょいとはね起きてみると、母から押えられてるのだった。
「何をするんです。お前さんは……兄さんに向って……。さあお謝りなさい。謝らないと、わたしが承知しませんよ。酔払って、ここをどこだと思うんです。」
母の言葉はやさしく僕の耳に響いた。僕は本当に酔払った気がした。母の前で酔払ったのは全く久しぶりなんだ。