Japanische Klassiker mit Furigana
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ふくしんだん
不苦心談
Lesen Sie 不苦心談 (ふくしんだん) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.026 Zeichen · 9 Bildschirme
七
誤植や誤写の外に、誤訳がある。誤植や誤写は自分に発見し易いが、誤訳はそれがむずかしい。人に指摘して貰って知ることが多い。私は今日まで指摘して貰って、私のそれを承認した誤訳を、ここに発表しようと思う。それは指摘してくれられた人には、没すべからざる恩誼があるから、それに対して公に謝したいためである。
七
しかし体に疵のある人は、衣服でそれを掩っていられる限は掩っている。人に衣服を剥がれるまでは露呈しない。精神上にも自家の醜は隠される間は隠している。そればかりではない。フランスの誰やらの本に、大賊が刑せられる時、人間の一番大切なる秘密を語ろうと云った。人が何かと問うた。賊は「白状するな」と云ったと云うのである。これは処世法の最深刻なるものかも知れない。これに反して、人に余儀なくせられたのでなく、ことさらに自家の醜を白状した人が稀にはある。ルソオの如きがそれである。しかしルソオは精神病になり掛かっていたらしい。私の誤訳を指摘してくれられた人達の指摘の形式は、よしや私がそれは承認するにしても、私にそれを発表することを余儀なくしてはいなかった。その形式が座談になっているのは、その席で礼を言えば済む。