Japanische Klassiker mit Furigana
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アリゾナのめとら
世界怪奇実話II
牧 逸馬
Lesen Sie 世界怪奇実話II (アリゾナのめとら) von 牧 逸馬 (まきいつま) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.877 Zeichen · 91 Bildschirme
「君が最後に別れた時、姉さんは何んな服装をしていたか」
「黒と白のドレスを着ていました。帽子は、多分黒だったと覚えていますが――」
それからは何んなに訊問しても、バアトンは姉の行動に就いて一言も吐かないし、また事実それ以上は知らないらしくもある。実際、ルウス・ジュッド夫人が自動車を下りて以来、一度も会っていないことは確からしいのだ。正午の羅府の下町である。織るような人通りで、ルウスは忽ち其の人波に呑まれて見えなくなったという。
「若しほんとに姉が、あのトランクの中の女二人を殺したものとすれば、その時発狂していたに決まっています」バアトンは懸命に、姉のジュッド夫人を弁護して、「そして又、姉が悪いにしたところで、僕は姉の弟です。姉に取って不利益になる事は、例い知っていても言う訳にいきません」
ジュッド医師は、四十八歳の温厚な小市民型である。気の毒な程取り乱していた。それでも、訊かれることは包みなく話したが、これも事実、何事も知らない様子で、この、良人のジュッド医師は余り捜査の手助けにはならなかった。
が、ジュッド氏は、この際、警察を助けようという誠意から、妻の平常など、問われる儘に包まず隠さず話すのだった。