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Japanische Klassiker mit Furigana

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アリゾナのめとら

世界怪奇実話II

牧 逸馬

Lesen Sie 世界怪奇実話II (アリゾナのめとら) von 牧 逸馬 (まきいつま) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.877 Zeichen · 91 Bildschirme

Aozora Bunko

締まりが無く、処女航海でも甲板がばらばらに緩んで、おまけに救命艇は飾り物だったし、第一、あの船は、静かな海でも滅茶苦茶に揺れたものだ――などという類である。もっと不届きなのは、何時の時代、何処の国にも、人さわがせ屋というものはあるもので、濠洲と南亜の海岸彼地此地で、空壜に這入った手紙や、遺書のようなものが六つも、浜に流れ着いたと言って届け出られた。まさに沈まんとするワラタ号から、誰かが其のメッセイジを書いて、壜に封じて海中へ投げ込んだものに相違ないと言うのだ。これが、六つの場所から六本提出された。生死の境に嫌に落ち着いて、死の哲学といったようなことを長ながと書いてあるのもあれば、女学生の詩みたいに変にセンチ一方のもある。そうかと思うと、如何にも倉皇の際に認めたらしく、字など狼狽てていて殆んど判読出来ないながらも、沈没に到る経路を、可成り専門的に要領よく書いてあったり、中には、

「二十八日 午前二時三十七分! これぞ余に約束せられたる死の時間なりしとは! いま、船室にありて之を認め居る余の足は、既に海水に洗われ、膝を没せんとす。船内灯火尽く消えて、僅かに星明りにてペンを走らすのみ。