Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちゅうよう

中庸

坂口 安吾

Lesen Sie 中庸 (ちゅうよう) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.104 Zeichen · 33 Bildschirme

Aozora Bunko

「心やすだてに無断で作業をはじめて相済まない。日暮れまでに床を張りたいと思い立ったのでね」

「誰にたのまれてですか」

「たのまれたわけではないが、あなたがたばこと同じように喜んで受けてくれると思ったのでね」

「たばこと同じにですって! たばこと何が」

マリ子の見幕がすさまじいので、余は言葉を失った。マリ子は土間の中をぐるぐる歩きながら云った。

「私たちはたたみなんて、もう捨てたんです。憎んでいます。たたみに甘えるぐらいなら、恥辱に生きられやしない。この病人をたたみへのせるぐらいなら、一思いに締め殺して安らかにさせてやるわ。私のおなかには恥だらけの子供がいるんです。先には子供をおろしたけど、もう、おろさない。大威張りで父なし子を生んでやるわ。土と藁の中へ生みつけてやるわよ」

暫時のうちにマリ子の頬はげっそり落ちていた。目もくぼんで険しかった。余は跫音を忍ばせて去ったのである。

校舎の蔭に羽生が身をひそめて聞いていた。余の去るを見て、彼も車をひいて従った。

羽生は余にささやいた。

「女はあんなものですよ。一皮むけば、どの女もあんなものです」

余は思わずかっとして叫んだ。