Japanische Klassiker mit Furigana
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いぎょ
中谷宇吉郎集 第七巻
中谷 宇吉郎
Lesen Sie 中谷宇吉郎集 第七巻 (いぎょ) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 54.841 Zeichen · 111 Bildschirme
鱗が銛をはね返しても、そう驚くことはない。鱗がそういう堅い物質からできているのであれば、それは、当然のことである。それよりも驚くべきは、大きい銛が命中しても、まったくそ知らぬ顔で、悠然として動かないこの魚の神経の太さである。薄明の水槽の中で、身体に似あわぬ小さい眼玉を半眼に開き、団扇のような胸鰭をきわめて緩慢に動かしながら、泰然と水中に静止しているこの魚の姿には、ミシシッピイの下流地域、広茫たる沼沢地帯の主の面影を思わせるものがある。
この魚の本名は、Lepisosteus tristoechus というのだそうで、銛をはね返した話も、シカゴの自然科学博物館発行の専門的な小冊子に出ていた話である。鱗は人間の歯と似た構造になっていて、内側は歯質と同じような物質から成り、外側は琺瑯質の極めて堅い層で蔽われている。形はやや菱形に近い四角形で、それがちょうど鎧のように、というよりも、瓦葺の屋根のような恰好にといったほうがわかり易いが、各鱗の一部だけが重り合って、丈夫な皮膚の上に並んでいる。この鱗の堅さは、斧で叩き切ろうとしたら、刃先から火が出たという話が、一般に信ぜられているくらいである。