Japanische Klassiker mit Furigana
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えいがをつくるはなし
中谷宇吉郎集 第三巻
中谷 宇吉郎
Lesen Sie 中谷宇吉郎集 第三巻 (えいがをつくるはなし) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 46.667 Zeichen · 95 Bildschirme
木の葉一枚でも、写生をして見ないと、本当の形は分らないものである。
こういう画家のいわば芸術的論拠からの意見などは、考古学的には何の意味もないことだろうが、厳密な学的根拠というものが、案外たよりない場合もある。画の考証などをする場合、摸写をして見て、その作者の神経を探るという方法も考えられないことはない。この場合、摸写をすることが必要なのであって、如何に丁寧に見ても、見るだけでは足りないのである。
森田さんは天女を描いて見て恐ろしくなったと言っていた。指一本でも、沢山のデッサンをして、その中から一番良い線を選んで描いたものにちがいないので、どんな天才でもとてもぶっつけに描ける画ではないそうである。あの大壁画の隅の隅まで、余りに精根をつくして描いてあるので、摸写をしていながら、時々人間の魂の高さに思わず頭が下ることがあるという話であった。
寒い札幌へ帰って来て、大和の秋を憶いみる毎に、千年の闇から煌々と現じ出た壁画の姿が先ず心に浮ぶのである。
この頃東京の新聞を見たら、正倉院御物拝観の群衆が、上野の山を幾巻きにも巻いたという記事があった。入場者は合計四十万人にも達したという。