Japanische Klassiker mit Furigana
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まるのうち
丸の内
高浜 虚子
Lesen Sie 丸の内 (まるのうち) von 高浜 虚子 (たかはまきょし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.875 Zeichen · 46 Bildschirme
尤も晴天の日であると、又別種の客がある。女子供が多い。日日通勤している人も、今日ばかりは和服に著かえて、打ちくつろいだ姿をして、細君や子供を携えて東京へ遊びに出かけるのである。それ等が丸ビルの売店をひやかしたり、そこの食堂で昼飯を食ったりするのも稀にある。然し大概は銀座や三越や又浅草あたりに行くのであろう。
勤人が細君から命ぜられた買物をして帰るのは丸ビルが最も便利である。そうでなくても大概退け時には一度丸ビルを通過して東京駅に来るのである。丸ビルの下の十字街が雑踏するのは、正午の食事時とこの退け時である。
それ等の人は日曜日には無い。銀ブラの盛んな時間になると、丸ビルはひっそりとする。勤め人の帰り去った五時頃には売店は大概店をしまうのである。食堂も七時か八時頃には大概戸を閉じる。
丸ビルばかりではない、丸の内一帯がひっそりする。
日曜で殊に雪の日の暮方は淋しい。東京駅にはただ遠方に行く旅客が集まり来るばかりである。自動車の中から寒そうに現れる家族連れがある。外套の襟を立てて重い鞄をさげた客が市電から降りる。それ等が泥濘を踏んで東京駅頭に立つ。