Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅふいしきのてんかん
主婦意識の転換
宮本 百合子
Lesen Sie 主婦意識の転換 (しゅふいしきのてんかん) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.849 Zeichen · 4 Bildschirme
義弟が、生れたばかりの赤坊と若い妻と母とをおいて再び出征するので、二十日ばかり瀬戸内海に沿った村へかえっていた。そこは、海辺近くだから春はめばる、夏は鱸と魚にこと欠いた経験はなくて何十年来暮していたところ、今度行ってみると、母は魚買いに苦心している。自転車のうしろに魚籠をつけて門口から声をかけて通る魚売りは三日に一度も来なくて、往来にその自転車をちらりと見かけ走って出て声をかけると、魚売りはふりむきもせず、なアもありゃせんとスイスイ行ってしまう。魚が無いのは実際なので、その附近一帯が俄かに躍進都市になって来たため人口が十層倍にもなり、魚は私たちの家のある村の端れへなんか来ないうちに、いい値で忽ち売切れてしまうのである。網やガソリンが不足で品が足りないでいるということもある。
海辺だから、魚の心配だけはないなどと云っていたのは昔話だと、母ともどもすこしあっけにとられて東京へ帰って来た。
東京駅でスーツ・ケースをうけとってくれたひとが、先ず訊いたのは、あっちでは野菜はどうだった? ということであった。日本葱一本を等分にわけて、お宅には特別にこっちをあげましょうと白い根の方を貰って来たという話もその朝省線の中できいた。