Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちちをさす

乳を刺す

邦枝 完二

Lesen Sie 乳を刺す (ちちをさす) von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.474 Zeichen · 35 Bildschirme

Aozora Bunko

「そんな夜半に、どうしてお前の部屋にいたんだ? おかしいじゃねえか」

「はい……」

おみねの蒼ざめた顔が、ぽッと赤くなった。

「おはずかしいことでございますけど、常どんの命に係わることですから、何もかも申し上げます。二人は……常どんとわたくしは、言い交わした仲でございます」

「何んだって?」

「この春でございました。わたくしが病気で、十日ばかり寝ました時、常どんが、毎晩看病してくれましたので、ついその親切にほだされまして……」

「だっておめえ、常吉はここの家の、聟になる男じゃァねえか」

「左様でございます。ですけど、お春お嬢さんは、常どんが小僧さんだったというので、大層邪慳になさいます。それでときどきは、常どんも、口惜し泣きに泣いて居りますんで。……わたくしも日頃から、気の毒に思って居ました」

「うむ」

「ゆうべも旦那は、お春お嬢さんと常どんを、お祝いの席へ着かせようと、なすったんですけど、お春お嬢さんは常どんと、一緒じゃいやだと仰しゃって、さっさと寝ておしまいになりました。それというのも……」

「それというのも?……」

「お春お嬢さんは、平太郎さんを想ってらっしゃるからでございます」