Japanische Klassiker mit Furigana
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よげん
予言
久生 十蘭
Lesen Sie 予言 (よげん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.000 Zeichen · 27 Bildschirme
安部は気むずかしいやつだと思ったが、その瞬間、これは石黒だなと直感した。
石黒なら、これくらい渋味を見せても、ふしぎはないわけだが、明日、日本を離れるのだから、和解出来るものなら和解しておきたい。石黒がなにかいいだしたら、すまなかったくらいのことはいうつもりでいたが、石黒は狭く依怙地になっているとみえて、和らぐ隙をくれない。しょうがないので、失礼だが、石黒さんではありませんかと切りだしかけると、ちょうどむこうもなにかいいかけ、こちらがひかえると、むこうもひかえる。そんなことをやっているうちに、気がさすと、もういけない。キッカケをとちった芝居で、まずい幕切れになった。
安部は気持にひっかかりを残したままホールへ入ると、ちょうど余興のかわり目で、十二聖徒の彫刻をつけたエラールのハープがステージにおし出され、薄桃色のモンタントを着た欧州種らしい二十五六の娘が、いいようすでハープを奏きだした。うしろの椅子に正親町と松久がいたので、その間に割りこんで古雅な曲をきいていると、どうしたのか、あたりが急に森閑として、なんの物音も聞えなくなった。安部は、淋しいなとつぶやいていると、ステージの端のほうへ裃を着た福助がチョコチョコと出てきて、両手をついてお辞儀をした。