Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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よげん

予言

久生 十蘭

Lesen Sie 予言 (よげん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.000 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

安部は、

「おや、福助さんが出て来た」

とぼんやり見ていたが、こんなところへ福助などが出てくるわけはない。きょうはよほど疲れているなと思って、しばらく息をつめていると、間もなく福助はいなくなり、へんに淋しい感じもとれた。

老公のテーブルスピーチなどがあり、賑々しく派手な晩餐会で、八時からホールでダンスがはじまった。十二時すぎにそれも終り、みなを送りだして二階の居間へひきとったのは、もう一時近くだった。知世子は疲れたようなようすもなく、幸福でしょうがないというふうに、安部の胸へ顔をおしつけたりしてから、いそいそと着換えの手伝いをはじめたが、ズボンに入っていた拳銃を見つけると、顔色を変えて安部のほうへふりかえった。安部は言訳をしようとしたが、こんなものを石黒が送ってよこしたなどとは申せない。結婚式の夜、新郎のズボンのヒップに、拳銃が入っているなどというのは平凡なことではないから、説明はむずかしい。これは弱ったと思ったら、安部の顔色も変った。知世子は利口だから、なにもたずねなかったが、明るかるべき大切な初夜に、それで暗い翳のようなものを残した。

アンドレ・ルボン号は真白に塗った一万六千噸の優秀船で、ポール・クローデル大使が同じ船でフランスへ帰るので、にぎやかな出帆だった。