Japanische Klassiker mit Furigana
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よげん
予言
久生 十蘭
Lesen Sie 予言 (よげん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.000 Zeichen · 27 Bildschirme
靴はどこへやったのか跣足で、ソワレの背中のホックがはずれて白い肩がむきだしになり、首から胸のあたりまで薄赤いみょうな斑点がべた一面についている。安部は礼をいってフェルナンデスにひきとってもらったが、いくら安部でも、蕁麻疹だろうか、蚤の痕だろうかなどと、見当ちがいするほど単純でもない。蚤は蚤でも、タキシードの襟にカーネェションの花をつけた大きな蚤なので、安部もむっとしないわけではなかったが、西洋の女蕩しというものは、どれほど執拗で抜目がなく、そういうものにたいして、日本の女性がいかに脆く出来ているかということも承知している。こんな結構なエピキュールの園に四十日もいたら、頭のしっかりした人間でも、いくらか寸法が狂ってくるのは当然なことで、つまりは、こういう、いかがわしい習俗の中で暮すようになっためぐりあわせが悪いのだと、無理やり、そこへ詮じつけた。
地中海へ入ると、急に温度が下った。海の形相がすっかり変って、三角波が白い波の穂を飛ばし、ミストラル気味の寒い尖った風が、四十日目の惰気をいっぺんに吹きはらってしまった。安部は急に食慾が出て、久し振りに食堂へでかけて行くと、半白の上品な顔をした給仕長が安部を見るなり、給仕の一人になにかささやいてから、安部のところへ来て、