Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ふたつのいえをつなぐかいそう

二つの家を繋ぐ回想

宮本 百合子

Lesen Sie 二つの家を繋ぐ回想 (ふたつのいえをつなぐかいそう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.480 Zeichen · 37 Bildschirme

Aozora Bunko

Aが

「斯う云う風に思いかえして下されば、僕もどんなに嬉しいか分りません」

と云ったに対し、母が、語気に威をつけ

「私は、何にも思いかえしたのでもなんでもないんですよ。ちっとも、先に考えたことと、考えが変ったのじゃあありません。自分がわるかったとなどは、ちっとも思って居ないんです」

自分は、ハッとした。其点で感情が齟齬しては、もうどうにもならないことになるだろう。

幸、父の一言二言で、その危険な峠は越した。

久しぶりで隠居所にも行き、兎に角、落着し、老人は一日置いた翌日呼ぶことと定ったのである。

老人の呼ばれた日、林町では、家中で愉快そうにもてなして呉れた。自分はどんなに嬉しかっただろう。以来、ちょくちょくAも行き、相当にはゆきそうに見える。然し……。どうも、母とAとの間には、自分の描く理想のような関係は生れそうもなく思われる。Aが、

「むずかしい人だから、成たけ黙って居る方がよい」

と云う態度だから。

人間の深みの違う点に至ると、殆ど、運命的な色彩を帯びる。近頃、自分の心には、実に深い、種々の懐疑がある。――