Japanische Klassiker mit Furigana
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ふたつのにわ
二つの庭
宮本 百合子
Lesen Sie 二つの庭 (ふたつのにわ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.492 Zeichen · 389 Bildschirme
二階が見えていて、その門を入るといきなり右手に井戸があった。いきなり井戸のある門口は何だか風変りで、そういう家に住む小川豊助という人がオブローモフを訳しているということも、伸子を気やすい思いにさせた。
「こんちはア」
格子の前で素子が声をかけた。返事がなかった。
「――いないんですか?」
そういいながら格子に手をかけたら、すらりとあいた。
「不用心だなあ――小川さん! わたしですよ。いないんですか?」
そのとき二階から大柄な二十四五の女がいそいで降りて来た。そして、
「ようこそ、どうぞ」
と玄関に膝をついた。そのあとから、小川豊助も降りて来て、階下口の鴨居へ片手をつっぱるようにして顔をまずのぞけながら、
「やあ、よく来て下さいました、どうぞ、どうぞ」
初対面の伸子に向って、改めて頭を下げた。小川豊助はこまかい縞ちぢみの単衣をいくらか胸のはだけたように着て、ゆるく兵児帯をまきつけている。年より早く頭がはげていた。にきびのあとのでこぼこがあるあぶらぎった顔の上に、小ぶりな銀ぶち眼鏡がかかっている。それは好人物の印象であった。
二階の書斎兼客間に通された伸子はそこにある一つ一つのものに興味を動かされた。