Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ふたつのにわ
二つの庭
宮本 百合子
Lesen Sie 二つの庭 (ふたつのにわ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.492 Zeichen · 389 Bildschirme
記事もすっかり読んだ。伸子は興味をうごかされて、七月二日という同じ日づけの、ほかの大新聞をもって来てみた。両方をみくらべると、無産者新聞が週刊だから記事の扱いかたがちがうというばかりでなく、たとえてみると、観客席からばかり観ている舞台と、舞台うらから見ている舞台とのちがいのようなものが、記事の扱いにあった。ほかの大新聞では、出兵のことも、川崎造船のこともただどうなったかということだけしか語っていない。なぜ、それはそういうことになったかということは、もう一つの無産者新聞でだけ話されている。毎日毎日の事件が、このふたとおりの新聞で、裏からと表からと照し出されて、はじめてほんとの現実になるという発見は、伸子にぴったりとしてわかる実感だった。小説はそうなのだから。なぜ? そして、どうして? この二つなしで小説というものは出発しないから。
四頁しかないその新聞の紙面には、伸子が自分の日々にちっとも感じたことのない権力の圧迫というものを、日夜直接に痛烈にこうむって、それと抗争している人々の息づかいがみなぎっていた。いつか玄関に来た三人の、ぼうぼう頭で膏と垢でひかる顔をした青年たちが思い出された。