Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ふたつのにわ

二つの庭

宮本 百合子

Lesen Sie 二つの庭 (ふたつのにわ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.492 Zeichen · 389 Bildschirme

Aozora Bunko

伸子は、

「ひととひととのいきさつには、きっと、はたではわからないようなこともあるものなんでしょう」

自制して、おだやかにいった。

「私にはわからない事実というものもあるんだろうと思います。でもね、遠藤さん、あなたは相川良之介という人を愛していたの?」

「それは愛していましたわ。家庭で、どんなにあの方が孤独だったか知っていたのは、私一人ですもの」

「それなら、そういう話を、あっちこっちもって歩いて、わけもわからないひとに、それを信じろなんていう必要はないと思うわ」

こんどは、絢子がだまった。

「わたし、あなたが、そういうことをいって歩くのを考えると苦しいわ」

伸子は、しばらくだまっていて、やがて、

「やめた方がいいわ、おやめなさいよ、ね」

といった。

「少くともわたしは、もうききたくないわ。いい?」

また、間をおいて、

「世間は冷酷ですからね、あなたの気がどうかしている、というのがおちよ」

遂に伸子は、とことんのことをいった。絢子は、じっと伸子のいうことをきいていた。そしてそろそろとかえり仕度をはじめた。

「ほんとに、そうですわ」

顎を掬い出すようにしてまたうなずいた。