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Japanische Klassiker mit Furigana

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ふたつのにわ

二つの庭

宮本 百合子

Lesen Sie 二つの庭 (ふたつのにわ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.492 Zeichen · 389 Bildschirme

Aozora Bunko

「そうしましょう!」

自分に向って確信するように云った。

「全集としても、その三人で一冊ぐらいは、あった方がいいものなんだ。そうすれば佐々さんもいいでしょう、借金じゃないんだから――印税をあげることになるんだから」

「いいわ」

伸子は、思いがけなさで、まじまじと木下の蒼い、まるいようで四角ばった顔を眺めた。

「借金じゃ、わたしに返すのぞみはないもの」

「それゃそうです。――ただどのくらいになるかな、どっちみち本が出るのはよっぽどあとだから……」

木下は、何かの算用をした。

「予約ものってものは、いつもはじめのうちよりは、あとになってぐっと減るもんなんだが。……まあ、一万は出せるでしょう」

「それは三人で?」

「いや一人」

「じゃいいじゃないの。行ける」

「一万はひきうけることにします。あと、何か書けたら送って下さい。それは別に原稿料として払いますから……」

予想もしなかった方法で、伸子の旅費のことは、解決しそうになった。

そこへ素子が外出さきから戻って来た。

「おや、これは珍らしいお客さんだ」

素子が椅子にかけるとすぐ、伸子は、

「もっと珍らしいことがおこったわ」

全集に一冊加えて、伸子の旅費が出そうなことを話した。