Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ふたつのにわ

二つの庭

宮本 百合子

Lesen Sie 二つの庭 (ふたつのにわ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.492 Zeichen · 389 Bildschirme

Aozora Bunko

には、一頁をそっくりとって「福助足袋の生い立ち」という岡本一平の漫画広告が出ていた。様々の工程を経て、足袋の頭をした福助が買い手の前にまかり出るまでの道ゆきが、のんびり漫画でかかれている。南縁からの陽のぬくもりで新聞のインクの匂いがいくらかつよくにおう。ひろげた新聞の上に、伸子がかがんでいると、歩いて来たままの調子でたたきへ下駄をぬぎすてるようにして、素子が外から帰って来た。そして、

「――ばかにしてら!」

手にもっていたがまぐちを伸子の机の上に放り出した。

「かからなかったの?」

この辺に電話をかりるところがなかった。素子は電車の停留場のそばまで行って、聰太郎のところへ電話して来たのであった。

「かかりましたがね、おつまは来ないんだってさ」

「――……」

伸子には、それを残念という風なあいづちはうてなかった。

「都合がわるくなったのかしら……」

「さあ、どうしたんだか。痴話喧嘩でもして気がかわったんだろう」

ふところでをして、縁柱にもたれ、素子はまた、

「ひとをばかにしてる!」

といった。そして、むっとした口もとをした。

「いいじゃないの、私は書くものがあるんだし、あなたの翻訳だって、もう一息のところなんだもの……」