Japanische Klassiker mit Furigana
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ふたつのてがみ
二つの手紙
Lesen Sie 二つの手紙 (ふたつのてがみ) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.799 Zeichen · 24 Bildschirme
それからまた、私の教えている学生は、私の講義を真面目に聴かなくなったばかりでなく、私の教室の黒板に、私と妻とのカリカテュアを描いて、その下に「めでたしめでたし」と書いて置きました。しかし、それらは皆、多少なりとも私と交渉のある人々でございますが、この頃では、赤の他人の癖に、思いもよらない侮辱を加えるものも、決して少くはございません。ある者は、無名のはがきをよこして、妻を禽獣に比しました。ある者は、宅の黒塀へ学生以上の手腕を揮って、如何わしい画と文句とを書きました。そうして更に大胆なるある者は、私の庭内へ忍びこんで、妻と私とが夕飯を認めている所を、窺いに参りました。閣下、これが人間らしい行でございましょうか。
私は閣下に、これだけの事を申上げたいために、この手紙を書きました。私たち夫妻を凌辱し、脅迫する世間に対して、官憲は如何なる処置をとる可きものか、それは勿論閣下の問題で、私の問題ではございません。が、私は、賢明なる閣下が、必ず私たち夫妻のために、閣下の権能を最も適当に行使せられる事を確信して居ります。どうか昭代をして、不祥の名を負わせないように、閣下の御職務を御完うし下さい。