Japanische Klassiker mit Furigana
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しつらくえんさつじんじけん
二十世紀鉄仮面
小栗 虫太郎
Lesen Sie 二十世紀鉄仮面 (しつらくえんさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.489 Zeichen · 77 Bildschirme
「たった一目妹を見たいと思ったばかりでした。昨夜一時ごろ、あのひどい濃霧の中を、私は屍蝋室の窓下へ参りました。でどうやらこうやら、鎧窓の桟だけを、水平にする事が出来ましたが見えたのは、嚢のようなものが浮いている、硝子盤らしいものだけで、それが擦った、燐寸の火に映っただけで御座います。けれども、その時あの室の中に誰かいるような気配が致しました」
「冗談じゃない。三つの死蝋の他誰がいるものですか。あの室は、院長以外には絶対に開けられんのですよ」
杏丸医学士が険相な声を出すと、鹿子はそれを強くいい返して、
「それでなければ、妹はじめ二人の方が、生きていた事になるのです。実は私、不思議なものを見たのですわ」
と、まざまざ恐怖の色を泛かべて、鹿子は語り始めた。
「その折、何処かで二時を打ちましたが、私は最後に残った、一本の燐寸を擦りました。すると急に硝子盤が、真白な光で明るくなったかと思うと、恰度内部を掻き廻しているかのように、嚢のようなものが浮きつ沈みつ動いて行くのです。それも、ホンの一、二秒の間でしたが、私はハッと思った瞬間、駭きと疲労とで、気を失ってしまったので御座います。