Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しつらくえんさつじんじけん

二十世紀鉄仮面

小栗 虫太郎

Lesen Sie 二十世紀鉄仮面 (しつらくえんさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.489 Zeichen · 77 Bildschirme

Aozora Bunko

これこそ、死蝋室の扉にある。帝釈天の硝子画ではないでしょうか。また鋤の女王は、そのどう向けても同じ形のところから、井という字の暗示ではないかと考えたのです。それで、硝子画の帝釈が指差している床下を探ると、果してそこに、自然の縦孔があって、コスター聖書はその中から発見されました」

そういって鹿子に向き直り、法水は莞爾と微笑んだ。

「然し、その所有は明らかに貴女へ帰すべきです」

法水の衣袋から、時価一千万円に価する稀覯本が取り出される刹那は、恐らく歴史的な瞬間でもあったし、また驚異と羨望とで、息吐く者もなかったであろう。が取り出されたものを見ると、一同はアッと叫んだ。

なんとそれが、聖書は愚か、似てもつかぬ胎児のような形をした、灰色の扁平いものに過ぎなかったのだ。

鹿子は怒りを罩めて叫んだ。

「お戯れは止めて下さい。サア早く、コスター聖書を」

「これがそうなのです。兼常博士は、この胎児の木乃伊をコスター聖書に比喩えたのですが、その理由はというと、双胎の一方が圧し潰されて出来る紙形胎児を、単に他の美しい言葉と換えたに過ぎなかったのです」

法水は、今にも泣き出しそうな鹿子の顔を見ながら、静かにいった。