Japanische Klassiker mit Furigana
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しつらくえんさつじんじけん
二十世紀鉄仮面
小栗 虫太郎
Lesen Sie 二十世紀鉄仮面 (しつらくえんさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.489 Zeichen · 77 Bildschirme
その時見たのは、つい先達暇をとった福と云う下女でしてな」
「今度のは何時頃でしたか?」
「左様、確か九時十分頃だったと思いますが、恰度その時私は時計の捻子を捲いて居りましたので、時刻は正確に記憶しとりますので」
次の慈昶は最も他奇のない陳述で終り、一日中外出せず自室に暮していたと云うのみの事だったが、頭蓋がロムブローゾなら振るい付くだろうと思われる様な、一種特異な形状を示していた。法水は慈昶に対する訊問を終えると、胎龍の室に赴いて何やら捜していたが、再び戻って来ると、続いて寺男の浪貝久八を呼ぶように命じた。然し、その――怯々と入って来る老人を見ると、熊城は法水の耳に何やら囁いた。と云うのは……先刻の訊問中に久八が突然癲癇発作を起したために、夕刻の六時から八時半頃迄寺の台所で立働いていた――と云う以外には、聴き取っていない事と、それから、富裕な質屋の主である彼が、何故寺男の生活をしているかと云う理由だった。久八は、永年の神経痛が薬師如来の信仰で癒おったとか云うので、それ以来異常な狂信を抱く様になり、ついぞ此の一月退院するまで、郊外の癲狂院で暮していたのであった。